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2007年08月19日

(10)思い出トランプ 向田邦子(1980)



人生いろいろ、かぁ

日常のことが淡々と描かれていて、他人の心の中を覗き見しながら、同調して、頷いて、解決するでもなく、すっきりするでもなく、そのまま受け流すところが、あぁ現実的と、いやに納得。大人ってこういうもの?すえた男女の日常あるある探検隊。もやもや~。それでも地球は回ってるんだあ。

「思い出トランプ」短編の中でも印象に残ったのを。

「かわうそ」
一本目がこの「かわうそ」。
九歳年下の妻のいたずらっぽいしぐさを何気なく感じていた。脳卒中にかかり、あらためて妻の言動を冷静に考える。単に無邪気なだけ、だろうか。病気の自分を尻目に、鼻歌を歌い、今まで以上に活発に動く妻、家にくる飛び込みのセールスマンにちょっとした「うそ」をつく妻、いままでなかったのに胸を強調して出かける妻。病気のせいなのか、少し卑屈になりがちに分析していく自分。食べるだけでなく、あそびのために狩りを楽しむかわうそになぞらえて想像する妻は、得て妙。

「だらだら坂」
二本目がこちら。一本目、二本目でハマります。
小さいなりに、会社をもてるくらいになった庄治。女のひとりも囲える立場となり、背伸びせず、だれからも目につかなそうな女を囲う。顔も、身体も地味で、とりたてて頭もよくなく、寸胴な女、トミ子。トミ子のことはすべて自分が知っている、自分のものくらいに考えていた庄治だったが、、、。小さな失望感はどこに向けられたものなのか、最後ちょっと大人な男の哀愁ある対応がいい。

「大根の月」
この話は、妻目線から。よかれと思っていたのに、自分の不注意で自分の首をしめたことが、ある人は必読。よい妻だけに、もどかしく、かわいそうに思うが、最後はハッピーだから安心して。

この、思い出トランプとにかく、読みやすいが、なんだか読んでて辛くなるような。
生きていくってこんなこと、みたいないい本です。
この本に中学生でよんだという、先輩はきっとスレた中学生だったろう。
いまだ独身だが、いい女でもある。  

Posted by 永卯称瓶 at 01:20Comments(0)小説 短編集

2007年07月01日

(8)江戸川乱歩傑作選 江戸川乱歩(1960)



読みたいと思い続けて長いことたちました。かなり遅めの乱歩デビュー。
短編ならぼくでもよめるわけです。

「人間椅子」
読むならコレと決めていた「人間椅子」。皮一枚をへだてて、感じるぬくもり、質感、匂い。一方通行で語られる偏執的な文。なまなましぃ!かなりのM男ぶりが少し具合悪い。最後のオチが粋。  

Posted by 永卯称瓶 at 02:57Comments(0)小説 短編集