バベル

永卯称瓶

2007年05月07日 02:01

BABEL
アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ(2006)



GWはやっぱり映画でしょうか。話題作を観にいくのもまたおつなもの。

バベルといえば「バベルの塔」
ノアの箱舟のあと『旧約聖書』の『創世記』11章、
バビロニア帝国にノアの子孫のニムロデが
建てようとして建てれなかった塔

物語はというと、もともと人々は同じ1つの言葉を人間は話していた。その中で、バビロニアのニムロデは「さぁ、我々のために都市を、そして塔を建て、その頂を天に届かせよう。そして、大いに我々の名を揚げて、地の全面に散らされることのないようにしよう。」と、レンガとアスファルトで天に届く塔をつくるように鼓舞。塔を建てる理由は、バビロニア帝国や、建築した者の名声を得るためで、神への崇拝の為ではなかった。それを良いことではないと見た神は怒り、一つであった人間の言語を混乱させ、人々が互いに理解できないようにして、バベルの塔の建設は途中で終わらざるをえなくなってしまった。混乱した人間は、世界各地へ散っていき、言葉は今現在のように分かたれた、というお話。

余談ですが、この「バベルの塔」は「崩された」という記述はなく、ジッグラートという名で存在したといわれています。チグリス・ユーフラテス川周辺には22の遺構が発見されていて、高さ90m(※185mという説も有)7階建てで最上階には神殿があったらしい。レンガで積み上げて建てる90mといえばかなり広い基盤が必要なのではと、ロマンを掻き立てます。    

人それぞれだけれども、、
ひとつの出来事が世界をつなぐ。そのかかわる人にはそれぞれの物語があって、文化レベルの違いによって考え方、悩み、仕事、生活があって。人は自分を守り、自分以外を守り。ある人にやさしくすれば、ある人に迷惑をかけ、自分勝手に過ごすのもむなしい。
映画で流れるのは、それぞれの生活と価値観。何かを得るでもなく、喜びもなく、どうにもならない現実を見せられたような。つまらないかといえば、そうでもなく最後まで観ました。すっきりしない感じもしたけど、このシコリが問題提起か。現在を伝える物語であり、虚しさを伝える物語。

ちなみに、空想的で実現不可能な計画は「バベルの塔」といわれるそう。

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